緑内障の初期症状とは?自覚症状がなくても検査が大切な理由
- 2026/09/30
- 緑内障

「緑内障という名前は聞いたことがあるけれど、どんな病気なのかよく分からない」
「眼圧が正常なら、緑内障は大丈夫?」
「見えているから、自分は緑内障ではないと思う」
このように考えている方も多いのではないでしょうか。
緑内障は、目から入った情報を脳へ伝える「視神経」が障害され、徐々に視野が欠けていく病気です。
そして緑内障の大きな特徴のひとつが、初期には自覚症状がほとんどないことです。視野の一部に異常があっても、もう片方の目や周囲の視野で補うため、自分ではなかなか気づくことができません。
そのため緑内障では、「見えにくくなってから眼科へ行く」のではなく、見えているうちに検査で見つけることがとても大切です。
今回は、緑内障の初期症状や検査、治療について、分かりやすく解説します。

緑内障とは?
私たちがものを見るためには、目に入ってきた光を網膜で受け取り、その情報を視神経を通して脳へ伝える必要があります。
緑内障では、この視神経が徐々に障害されることによって、視野の一部が見えにくくなっていきます。
一度障害された視神経や失われた視野を元に戻すことは、現在の医療では困難です。そのため、できるだけ早く発見し、残っている視機能を守っていくことが治療の大きな目的になります。
緑内障は決して珍しい病気ではありません。
日本で行われた大規模な疫学調査「多治見スタディ」では、40歳以上の約20人に1人(約5%)に緑内障が認められました。また、年齢とともにその割合は高くなる傾向があります。
「自分には関係ない」と思わず、特に40歳を過ぎたら一度は眼科で目の状態を確認しておくことをおすすめします。
緑内障の初期症状は?
実は、緑内障の初期には「これが緑内障の症状です」といえるような自覚症状がほとんどありません。
緑内障による視野障害は、多くの場合ゆっくりと進行します。
しかも、片方の目の視野が少し欠けていても、もう片方の目がその部分を補ってくれます。また、脳が周囲の情報から見えない部分を補完するため、日常生活では異常に気づきにくいのです。
そのため、
「視力は1.0あるから大丈夫」
「普通に運転できているから問題ない」
「目が痛くないから病気ではない」
とは限りません。
緑内障では、中心の視力が比較的保たれたまま、視野障害が進行していることもあります。
症状が現れてから受診するだけでは、早期発見が難しい病気なのです。

緑内障が進行すると、どのように見える?
緑内障が進行すると、視野の一部に見えにくい場所が生じ、それが徐々に広がっていきます。
ただし、実際の緑内障の見え方は、単純に視野の一部が「真っ黒になる」とは限りません。
周囲の景色になじむように見えにくくなったり、ものを見落としたりすることもあります。
進行すると、
- 人や物に気づきにくくなる
- 階段や段差を見落とす
- 運転中に周囲が見えにくく感じる
- 文字を読みづらく感じる
など、日常生活への影響が現れることがあります。
さらに進行して中心部の視野まで障害されると、視力そのものも低下することがあります。
だからこそ、「見えにくくなったら検査する」のではなく、「見えているうちに検査する」ことが重要なのです。
「眼圧が正常だから緑内障ではない」は間違い?
「緑内障=眼圧が高い病気」というイメージをお持ちの方も多いと思います。
確かに、眼圧は緑内障の発症や進行に関係する非常に重要な要素です。
しかし、眼圧が正常範囲であっても緑内障になることがあります。
これを「正常眼圧緑内障」といいます。
多治見スタディでは、原発開放隅角緑内障(広義)の有病率は3.9%で、その大部分を眼圧21mmHg以下の正常眼圧緑内障が占めていました。したがって、眼圧の数字だけで「緑内障ではない」と判断することはできません。
反対に、眼圧が高くても視神経や視野に緑内障性の異常がみられない「高眼圧症」という状態もあります。
緑内障の診断には、眼圧だけではなく、視神経の形や網膜の状態、視野などを総合的に評価することが必要です。

緑内障はどのような検査で分かる?
眼科では、複数の検査を組み合わせて緑内障の有無や進行程度を調べます。日本眼科学会も、眼圧検査、眼底検査、OCT、視野検査、隅角検査などを緑内障診断に用いる検査として挙げています。
① 眼圧検査
眼球の内側からかかる圧力である「眼圧」を測定します。
眼圧は緑内障を評価するうえで重要ですが、先ほど説明したように、正常範囲であっても緑内障の場合があります。
② 眼底検査
目の奥にある視神経乳頭などを観察します。
緑内障では、視神経に特徴的な変化がみられることがあります。
健康診断や人間ドックの眼底写真で「視神経乳頭陥凹拡大」「緑内障疑い」などを指摘され、眼科受診を勧められることもあります。
③ OCT(光干渉断層計)
OCTは、光を利用して網膜や視神経周囲の構造を詳しく調べる検査です。
緑内障によって神経線維が薄くなっていないかなどを評価できます。
痛みを伴わず、短時間で行える検査です。
④ 視野検査
見える範囲や感度を調べる検査です。
緑内障によって視野が欠けていないか、また以前と比較して進行していないかを確認するために重要です。
これらの検査を組み合わせることで、緑内障の診断や経過観察を行います。
どんな人が緑内障の検査を受けた方がいい?
特に、次のような方は一度眼科で検査を受けることをおすすめします。
- 40歳以上の方
- 健康診断や人間ドックで「緑内障疑い」「視神経乳頭陥凹拡大」などを指摘された方
- ご家族に緑内障の方がいる方
- 強い近視がある方
- 眼圧が高いと言われたことがある方
特に、家族歴や強度近視は緑内障のリスクと関連することが知られています。日本緑内障学会も、家族に緑内障の方がいる場合や強い近視がある場合には、早めの検査を勧めています。
また、健康診断で「緑内障疑い」と書かれていても、必ず緑内障というわけではありません。
視神経乳頭の形には個人差があるため、眼底写真だけでは診断できないことがあります。指摘された場合には過度に心配せず、眼科で詳しい検査を受けましょう。
緑内障はどのように治療する?
緑内障治療の基本的な目的は、眼圧を下げることで視神経障害の進行を抑え、現在の視機能をできるだけ長く保つことです。
すでに失われた視野を元に戻す治療ではありません。
現在、緑内障に対して効果が明確に確認されている治療は眼圧を下げることであり、正常眼圧緑内障でも、もともとの眼圧からさらに下げることで進行を抑えられることが示されています。
治療方法には、大きく分けて次の3つがあります。
点眼治療では、眼圧を下げる目薬を使用します。緑内障の種類や眼圧、進行程度などに応じて薬剤を選択します。
レーザー治療では、緑内障のタイプに応じて、房水の流れを改善する治療などを行うことがあります。例えば開放隅角緑内障では、選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)が選択肢になることがあります。
手術治療は、点眼やレーザーだけでは十分な眼圧下降が得られない場合や、病状などを考慮して必要と判断される場合に検討します。線維柱帯切開術や線維柱帯切除術、各種インプラントを使用する方法などがあり、患者さんの状態に応じて術式を選択します。
どの治療が適しているかは、緑内障の種類、進行程度、年齢、眼圧などによって異なります。
治療を始めたら、定期検査を続けることが大切です
緑内障では、「目薬を使って眼圧が下がったから大丈夫」というわけではありません。
眼圧が目標値まで下がっているか、視神経や視野の障害が進んでいないかを定期的に確認する必要があります。
眼圧だけでなく、OCTや視野検査などを以前の結果と比較することで、病気の進行速度を評価していきます。
また、点眼薬を自己判断で中断してしまうと、知らないうちに眼圧が上昇することがあります。
緑内障は長く付き合っていくことの多い病気だからこそ、治療と定期検査を継続することが大切です。
急な目の痛み・かすみ・頭痛・吐き気には注意してください
多くの緑内障はゆっくり進行し、初期には自覚症状がほとんどありません。
一方で、急激に眼圧が上昇するタイプの緑内障では、
強い目の痛み、急なかすみ目、充血、頭痛、吐き気・嘔吐
などが突然現れることがあります。
このような症状がある場合には、急性閉塞隅角緑内障など緊急の治療を要する状態の可能性があります。
症状が強い場合は様子を見ず、直ちに眼科または救急医療機関を受診してください。
40歳を過ぎたら「見えているから大丈夫」ではなく、一度眼科検診を
緑内障で最も知っていただきたいことは、
「初期には自覚症状がほとんどない」
ということです。
普段の生活で問題なく見えていても、視神経の障害が始まっている可能性があります。
そして、一度失われた視野を元に戻すことは難しいからこそ、早期発見・早期治療と、その後の継続的な管理が重要です。
特に40歳を過ぎた方、ご家族に緑内障の方がいる方、強い近視がある方、健康診断で緑内障の疑いを指摘された方は、一度眼科で詳しい検査を受けてみてください。
エムズ眼科クリニック大島では、開院後、眼圧検査だけでなく、眼底検査、OCT、視野検査などを用いて緑内障を総合的に評価し、それぞれの患者さんの状態に応じた診療を行える体制を整えてまいります。
「自覚症状がないから大丈夫」ではなく、症状がない今だからこそ、目の状態を確認する。
大切な視野をこれからも守っていくために、定期的な眼科検診を役立てていただければと思います。